【微生物】臨床検査国家試験で出題される抗菌薬・抗ウイルス薬・抗真菌薬の分類

この記事では抗菌薬の分類について解説していきます。

抗菌薬は作用機序で分類されていますが、カタカナで○○系と分類されているので覚えにくいかもしれません。
しかし、頻出であるとともに覚えてさえいれば確実に得点できるので暗記しておきましょう。

■目次

抗菌薬の作用機序の種類

βラクタマーゼについて

抗結核薬・抗真菌薬・抗ウイルス薬について

まとめ

■抗菌薬の作用機序の種類

抗菌薬には大きく分けて5種類の作用機序があります。

細胞壁合成阻害、タンパク合成阻害、DNA合成阻害、葉酸合成阻害、細胞膜合成阻害です。

細胞壁合成阻害タンパク合成阻害の薬剤が特によく出題されます。

それぞれの薬剤がどの作用機序なのかをしっかりと覚えましょう(量が多いのでコツコツ覚えることが大切)

薬剤の種類ごとに名前の末尾に特徴があるものもあるので、ある程度は効率的に覚えることができます。しかしタンパク合成阻害などはややこしいので要注意

ページの最後にまとめたものを載せているので頑張って覚えていきましょう!

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■βラクタマーゼについて

βラクタマーゼはβラクタム構造を分解する酵素です。βラクタム構造とはβラクタム系抗菌薬がもつ化学構造です。つまりβラクタマーゼは抗菌薬を分解するため薬剤耐性に関わります。このβラクタマーゼにはクラスA,B,C,Dが存在します。

クラスAはペニシリナーゼ

クラスBはカルバペネマーゼ・メタロβラクタマーゼ

クラスCはセファロスポリナーゼ

クラスDはオキサシリナーゼ

が分類されています。

またこれらのβラクタマーゼの活性を阻害する物質も出題されるので覚えましょう。

クラスAはクラブラン酸

クラスBはボロン酸

クラスCはEDTA,メルカプト化合物

クラスDはクラブラン酸

によって阻害することができます。

出題パターンとしてはクラスAのペニシリナーゼをもつ細菌かを調べるときに薬剤感受性試験を行い、ペニシリンを添加して培養すると阻止円(細菌が増殖しないエリア)ができないのに対し、ペニシリンにクラブラン酸を添加して培養すると阻止円が形成されたとします。 クラブラン酸によりペニシリンの薬効が確認されるということは、ペニシリンの阻害が起こらなかったということになりますね。つまりペニシリンを分解して阻害していたペニシリナーゼがクラブラン酸により阻害されたとわかります。 よってこの細菌はペニシリナーゼを有する細菌であったという結論が得られるのです。

やや複雑ですが考え方さえ押さえておけると別の細菌の場合も対応できます。

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■抗結核薬・抗真菌薬・抗ウイルス薬について

最後に抗結核薬・抗真菌薬・抗ウイルス薬についてです。

これらの出題頻度はそこまで高くはありません。しかし上記の抗菌薬に比べて覚える数が少なくて済むので出題されたときに得点しやすいです。

抗結核薬は

イソニアジド細胞壁合成阻害
リファンピシンRNA合成阻害
ストレプトマイシンタンパク合成阻害
ピラジナミドマクロファージに取り込まれた菌の殺菌

これらを把握しておく程度でよいでしょう。またイソニアジド・リファンピシン・イソニコチン酸ヒトラジドに耐性を示すものを多剤耐性結核菌と呼びます。

抗真菌薬はポリエン系、アゾール系、キャンディン系の3種類があり、作用機序はそれぞれ細胞膜破壊、細胞膜合成阻害、細胞壁合成阻害です。ポリエン系の薬剤としてはアムホテリシン、ナイスタチン、アゾール系の薬剤は○○ゾール、キャンディン系はミカファンギンを押さえておけば十分だと思います。余裕がない方はこの範囲の優先順位は下げても大丈夫でしょう。

抗ウイルス薬はさらに情報量が少なく、○○ビルという名称の薬剤が抗ウイルス薬であることと抗インフルエンザ薬はノイラミニダーゼ阻害薬であることを押さえておけばそれ以上細かいことを覚える必要はないと思います。

ただし新型コロナウイルス関連の薬剤などが出題されないとも限らないので、一応ケアしておくと安心かもしれません。

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■まとめ

覚えることが多いので教科書とほぼ同じになってしまいますが、抗菌薬に関しては以下の表を完璧に覚えられるのが理想です。

βラクタマーゼと抗真菌薬は以下にまとめました。



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