【何から始める?】さあ、臨床検査技師国家試験の対策を始めよう!~効率のよい勉強の始め方~

2月の中旬が過ぎ、臨床検査技師国家試験が終わりました。受験された方々はお疲れ様でした。そして次の国家試験を受験される予定の大学3年生はそろそろ準備を始めようと考えているかと思います。この記事では国家試験勉強を本格的に始めようと思っているけど、何から始めたらいいのか・・・という方に向けた内容となっています。さまざまな勉強法があると思いますが、なかなか重い腰が上がらないという方は参考にしてみてはいかがでしょうか

■目次

まずは国家試験がどのようなものかを知る

まずは自分の実力と到達レベルの差を確認する

どこを勉強すればいいのかを確認する

参考書とノートづくりについて

■まずは国家試験がどのようなものかを知る

臨床検査技師の国家試験は2月の中旬に行われる試験で1日で200問の5肢1択または2択を解答します。合格点は120点(正答率60%)です。200問といっても午前に100問、午後にもう100問解答するので1日がかりの試験となります。試験時間は午前、午後ともに2時間30分です。センター試験(共通テスト)などとは違って時間的には余裕がある試験ですが、見直しを念入りに行うとそれなりの集中力が要求されます。

次に出題範囲について確認しましょう。1つの問題冊子に100問載っていますが、分野ごとに固まって出題されます。また出題数が多い分野と少ない分野があり、例年変動がないと考えてよいでしょう。

こちらから厚生労働省より発表されている出題範囲を確認することができます。しかし区分けが細かいうえにものすごい量でなかなか全体像をつかみきれません。ざっくりまとめると以下のように構成されているといえます。

問題番号問題数分野・科目主な出題内容
1-1515一般検査・検査総論医動物、尿沈渣、検査に関する基礎知識
16-2813生理機能検査呼吸機能検査、心電図、エコー
29-4416臨床化学生化学検査の仕組み、ホルモン、ビタミン、疾患との関連
45-5814病理病理検査の手技、組織像、細胞診
59-679血液血算、血液像、凝固検査、白血病、凝固異常
68-7811微生物細菌・真菌・ウイルスの特徴
79-8911免疫免疫の仕組み、自己免疫性疾患、免疫学的検査、血液型、輸血
90-945公衆衛生保健統計、研究デザイン、統計学
95-1006医用工学情報学、物理学の基礎、顕微鏡

この表からもわかるように生理機能検査、臨床化学、病理は特に出題数が多い分野です。全分野まんべんなく出題されるわけではなく、出題数に偏りがあることを念頭に置いておきましょう。さらに詳細な分野ごとの分析はこちらの記事に掲載しております。

  • 午前・午後の2部構成で計200問を解答する
  • 合格点は120点前後
  • 各分野ごとの出題数が概ね決まっていて、生理機能・臨床化学・病理のウェイトが大きい

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■自分の実力と到達レベルの差を確認する

まずは過去問を解きましょう。どれだけわからなくてもいいので200問に対して今持っている知識だけで回答します。分からない問題については何か印をつけて解くとよいです。全く自信がない問題はDをつける、選択肢のうち1つは除外できたならCをつける、2択まで絞れたらBをつける、自信がある問題はAをつけるなどしてみましょう。ちなみに私が初めて国家試験を解いたのは大学3年生の12月くらいで第62回を解いてみました。結果はAMは34点でPMは33点の計67点でした。合格点までの差に当時は少し焦りを感じたのを覚えています。ここで注目してほしいことは2つです。1つ目は得点です。どんなに低い点数でも落ち込む必要はありませんが、120点という目標との差をしっかりと受け止めましょう。もう一つは自信度で4分類された問題数と正解数です。自信のある問題はどれくらいあって、そのうちどれだけ正解できているかを確認しましょう。

自己採点をしてみたときにAの正答率80%, Bの正答率50%, Cの正答率25%, Dの正答率15%くらいになれば自信度による分類がしっかりとできていたといえます。極端な話以下のようなバランスでも問題ありません。

自信度問題数正解数正答率
A131077%
B12542%
C25520%
D50714%
合計1002727%

自分がわかる問題と、そもそも勉強できていない問題の区別をつけるという作業を最初にやっておくべきなのです。Dの問題はやったけどわかっていないBやCの問題と違ってそもそもやったことがない問題といえるので一番得点を伸ばしやすい問題ともいえます。

  • まずは国家試験を200問解答してみる

  • 見たこともない問題は一番の伸びしろである

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■どこを勉強すればいいのかを確認する

さてここからはDの問題をできるようにする方針で進めていきます。Dの問題に対しては復習の段階で2つに分類していきましょう。それは概念と知識です。その問題を解答するのに不足していたことは概念なのか知識なのかを分類して考えましょう。ここからは実際に国家試験の問題を例に説明していきます。

第67回臨床検査技師国家試験AM15 慢性閉塞性肺疾患COPDで増加するのはどれか
1. 残気量
2. 肺活量
3. 1秒率
4. 1秒量
5. 肺拡散能


この問題を解くのに必要なことはCOPDがどのような病態なのか、それからスパイログラムの各分画についての概念を理解しておく必要があります。原理や特徴、病態などがわからない場合は概念がわかっていない状態です。他の例を挙げると、主要酵素の測定法、副腎や甲状腺機能の疾患と検査値、心筋梗塞の梗塞部位、免疫の仕組みなどは「~だから○○である」という形で解答ができます。

それに対して
第67回臨床検査技師国家試験AM27 反回神経を分岐する脳神経はどれか

1. Ⅷ
2. Ⅸ
3. Ⅹ
4. Ⅺ
5. Ⅻ
この問題に関しては特にロジックは必要ありません。単に脳神経をすべて覚えているかどうか(知識)がカギとなります。分類や画像問題などがわからない場合は知識が不足している状態です。他の例を挙げると抗菌薬の分類、細菌を調べる培地、不規則抗体、腫瘍マーカーなどは理由とかはなく覚えるしかない問題です。

概念と知識のどちらが不足しているのかを分析できたら、教科書を開きましょう。その問題を教科書を使ってカンニングするつもりで解こうとしてみましょう。そう、開いたページが勉強すべき範囲です。

ここでいきなり開いたページを理解しようとせず一旦知らなかった言葉、例えば残気量、COPDという単語にマーカーを引いていきましょう。そうすると概念に関しては下の図のような関係が構築されることがわかるかと思います。

つまり概念を一つ理解すると複数の問題が解けるようになります。これは科目の枠を超えることもあります。概念を押さえることで効率的に得点を伸ばすことができます。

知識をインプットする必要がある場合には、例えば神経がまとまっている表をマーカーで囲ったり、「脳神経覚える」などとメモを残しておきましょう。この作業を数年分の過去問で行っていきましょう。そうすることで覚えることリストが集まってくるはずです。また覚えることリストのなかでもより高頻度で問われることとそうでないものが出てくることがわかると思います。そこまで過去問を研究出来たら、重要なものから順番に覚えるようにしていきましょう。この作業をしておくと以下の記事にも書いた通り国家試験の直前期の対策に迷わなくなるという大きなメリットがあります。こちらの記事にも書いたように、国家試験の出題範囲のうち大きなウェイトをもつ範囲を理解することが重要です。

  • 解けなかった理由は概念を理解していないからなのか、知識が不足しているからなのか

  • 教科書の中で読むべき箇所は過去問から選ぶ

  • 覚えるべきことリストを作成して重要なものから覚える

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■参考書とノートづくりについて

よく勉強を始めるときに話題に上がるのが参考書とノートづくりについてです。結論からいうと参考書は1冊も買わなくても余裕で合格できます。学校で購入する教科書(赤本)または授業で使用されるスライドがあれば高い参考書などは必要ないです。実際私が国家試験対策にかけたお金は学校指定の教科書+指定されていなかった生理機能検査学の赤本+模試の受験料のみです。考え方は人それぞれですが、臨床検査技師国家試験は、まともな勉強の仕方と並の学習習慣があればそこまで難易度の高い試験ではありません。大学受験とは違うので参考書などにお金をかけるまでもなく合格可能な試験です。

ノートづくりは賛否が分かれることがある学習法ですが、私は時間がある人にとっては最適な勉強法であると思います。ノートの作り方がわからないという方はこちらの記事を参考にしてみてください。ノートを作りながら勉強することで自分が間違えやすいポイントなどを洗い出すことができます。また現在足りていない知識が何かをまとめるのにも役立ちます。最初は教科書を開いて、読んで、ネットで調べての繰り返しなので時間がかかって大変かもしれませんが、慣れてくるとそのスピードも上がります。

  • 参考書は1冊も買わなくても合格はできる

  • ノートづくりは時間がかかるが有用な勉強法である

最後に

臨床検査技師の国家試験は大学受験と違って、他人との競争が起こる試験ではありません。他人がどのような勉強をして、どのような成績であろうが自分が試験に合格すれば関係ありません。本番の試験で120点とるための最善手を考えて勉強することをおすすめします。当サイトではさまざまなテーマのまとめ記事を掲載していますので参考にぜひご覧ください

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